膵臓がん 症状/原因/検査

膵臓がん(すいぞうがん)とは

  1. 膵臓がんは膵臓にできるがんで、多くは膵管に発生します。
    現在、膵臓がんはがんの死亡原因で第4位の死亡者の多いがんです。治療が難しいがんであるという側面もありますが、多くのケースで早期発見はできておらず、発見された際の平均値は既に転移がんまで進行した(発症から2年超の期間を経過した)後であることも死亡者の多い原因です。
    膵臓がんに伴い急な糖尿病の発症や悪化がみられる場合もありますが、膵臓がんは発生しても症状が出にくく、体の異変を契機としての早期発見は期待できません。 膵臓がんが進行してくると、腹痛、腰や背中の痛み、腹部膨満(お腹の張り)、食欲不振、などが起こりますが、これらの症状は①膵臓がんがかなり進行した後に現れることが多いものであること、②膵臓がんにのみ生じるものではないことに留意が必要です。
  2. 関連記事はこちら
    1. 1.膵臓がん(すいぞうがん)とは
      ・(1)発見がしづらい
      (2)治療がしづらい
      6.膵臓がん(すいぞうがん)の症状
  3. ステージ別 がんの状態と転移を表す因子
  4. ステージ T因子 N因子
    (領域リンパ節
    への転移)
    M因子
    (領域リンパ節
    を超える転移)
    ステージ0 Tis N0(無)
    M0(無)
    ステージ1 A T1 N0(無) M0(無)
    ステージ1 B T2 N0(無) M0(無)
    ステージ2 A T3 N0(無) M0(無)
    ステージ3 B T1から3 N1(有) M0(無)
    ステージ4 T4 N0(無)~1(有) M0(無)
    ステージ5 T1からT4 N0(無)~1(有) M1(有)
  5. T因子
    がんの大きさ・周囲への広がりの程度を表す指標です。
    Tis… 上皮内がん=ステージ0
    T1 … 膵内限局がん、2㎝以下
    T2 … 膵内限局がん、2㎝超
    T3 … 膵外進展だが腹腔動脈もしくは上腸間膜動脈に及ばない
    T4 … 膵外進展、腹腔動脈もしくは上腸間膜動脈に及ぶ
  6. (出典:国立がん研究センター東病院「病期(ステージ)ステージ分類とTNM分類」より)
  7. 発見がしづらい

    1. 膵臓(すいぞう)は胃の裏側にあり、曲がりくねった細長い臓器です。膵臓がん(すいぞうがん)の初期段階では自覚症状がない場合が多く、自覚症状の出現時には進行している場合が多いのが特徴です。
      また、以下の検査においても、簡単に発見できるものではなく、発見がしづらい状況があります。
    2. 採血の腫瘍マーカー
      1. 早期の膵臓がん(すいぞうがん)は腫瘍マーカーでは測定出来ないことが多いです。
      超音波(エコー検査)
      1. 膵臓(すいぞう)が体の奥にあるため超音波が届きづらく、どうしても不明瞭となりやすい部分があります。
      CT/MRI検査
      1. 膵臓がん(すいぞうがん)は殆どが乏血性の為、一般的ながんと比べ、がんの陰影が判断しづらい状況です。MRI-DWI、CT-低管電圧等、膵臓がん(すいぞうがん)の見逃し防止措置や読影医師が症例を多くこなすことが見逃しを減らします。
      内視鏡検査
      1. 胃の通常の内視鏡検査では膵臓(すいぞう)は観察不能です。超音波内視鏡という特殊な検査で行う必要がありますが、採算性が悪く、実施医療機関は非常に少ない状況です。
  8. 治療がしづらい

    1. 膵臓(すいぞう)は比較的薄い臓器のため、がんが発生すると膵外に浸潤しやすく、周囲の重要な血管に浸潤したり、転移があれば手術できないことも多くあります。 このように膵臓がん(すいぞうがん)は発見時に手術出来ない方が多く見られるほか、手術も難易度が高く、治療成績も全てのがんの中で最も成績の悪いがんです。
    2. しかし、早期発見の小病変の場合には、最近は腹腔鏡下手術も行われるようになり、良好な成績が得られています。

膵臓(すいぞう)の機能

  1. 膵臓は胃の後ろにある長さ15センチぐらいの臓器で以下の2つの役割を担っています。
    1. 役割 1

    2. 食べた食物を体内に取り込むために分解する「膵液」を製造し、十二指腸へ送ります。
    3. 役割 2

    4. 血液中の糖分を適切な水準で維持しつつ、糖を必要なエネルギーに変換していく「インスリン」、「グルカゴン」等を作ります。
    5. 膵臓がうまく働かないと、食物を栄養素に分解することが出来ず、各細胞に栄養が供給されませんし、血液中の糖分を維持したり、必要なエネルギーを糖から作りだすことが出来なくなってしまいます。
      図は分枝型IPMNの診療アルゴリズム2017

膵臓がん(すいぞうがん)の原因

  1. 人類の遺伝子は約2万種類、父親から1つ、母親から1つ、受け継がれた2つがセットで1つの遺伝子を構成します。この2つセットの遺伝子の2つ共が異常(変異)となった場合に「がん」を発症します。
    遺伝子異常(変異)の原因は①加齢、②環境要因(生活習慣、環境等)、③遺伝的要因です。
  2. ・遺伝的要因: 父親または母親の先天的に異常がある遺伝子を引き継いだ場合を意味します。セットで構成される遺伝子の1つが生まれながらに異常ですので、もう1つの遺伝子に①加齢、②環境要因(生活習慣、環境等)による遺伝子変異が生じるとがんを発症します。
    先天的異常のある遺伝子ですが、以下のものが影響すると考えられています。
      膵臓がんの家族歴
      BRCA2の遺伝による乳がん・卵巣がんの家族歴
      P16遺伝によるメラノーマ(皮膚がん)の家族歴
      遺伝性膵炎(Familial Pancreatitis)の家族歴
      ポイツ・ジェガース腺腫性症候群(Peutz-Jegher's Syndrome)遺伝による胃がん、小腸がん、結腸がんの家族歴の方も膵臓がんのリスクを高めるという報告があります。
    ・生活習慣的要因: 多量の飲酒喫煙肥満糖尿病加齢
    ・疾患的要因: 慢性膵炎
  3. また、既に膵臓がんの画像診断上の危険因子に該当する画像所見が有る方は、既に膵臓がんの遺伝子変異が生じた後である可能性があるため上記の3要素よりももう1段階高い注意が必要です。
    1. 遺伝子変異とは

    2. 遺伝子とは私たちの体を作り、維持するために必要な情報が含まれているのですが、この遺伝子が変化することで体の正常な働きが保てなくなる場合があるのです。
      遺伝子はDNA(デオキシリボ核酸)という物質です。DNAはアデニン(A)、チニン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4つの物質の並びによって遺伝情報を表しています。何らかの理由で文字が入れ替わったり、他の文字が入ってしまったり、文字が抜けてしまったりすることで間違った情報となってしまい、たんぱく質が作られなかったり、作られる時期や場所が間違ったりするのです。その結果、がんが生じる原因となる場合があるのです。
    3. 膵臓がんの遺伝子変異を起こしやすい方

    4. 統計的に一般の方と比べて膵臓がん(すいぞうがん)の発症リスクの高い方がいます。遺伝や生活習慣等が原因として以下の7つが列挙されています。
    5. 膵臓がんの遺伝子変異が生じた場合

    6. 膵臓がん(すいぞうがん)の遺伝子変異が生じると、膵臓がん(すいぞうがん)の発症が近づくにつれ、その状態が悪化していく画像所見(注)があることがわかっています。
      1. 膵臓がん(すいぞうがん)の発9]]症が近づくにつれ、その状態が悪化していく画像所見
      2. 膵臓がん(すいぞうがん)の発症が近づくにつれ、その数が増えたり、その状態が悪化していく画像所見であり、以下の4項目あります。
        当院ではこの画像所見を「膵臓がんの画像診断上の危険因子」と定義し、その状態を評価し、経時的変化を捉えていくことで膵臓がん(すいぞうがん)の発症時期を予測しています。
    7. 膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子

膵臓がん(すいぞうがん)の発症リスクの高い方

  1. 以下のチェックリストをご確認ください。1つでも該当する場合には注意が必要です。
  2. チェックリスト
  3. 膵臓がんの家族歴:家族に膵臓がんになった人が居る。
    家族が乳がん、卵巣がん、黒色腫(メラノーマ、皮膚がん)、結腸がん、膵炎になった人も要注意です。
    現在、糖尿病の治療をしている。
    1日の平均飲酒量が、ビール:900ml、ワイン:グラス3杯 以上である。
    喫煙をしている 又は 過去に喫煙をしていた。
    BMI値や内臓脂肪量が肥満の分類に入る。
    慢性膵炎で治療中である。CT検査で膵臓(すいぞう)石灰化などの指摘をされたことがある。
    50歳を超えている。
    ※注 膵臓がん(すいぞうがん)の遺伝子変異が起きた場合、膵臓がん(すいぞうがん)が発症するまでの期間は10~15年であることがわかっています。一方、60代までの膵臓がん(すいぞうがん)の罹患率は膵臓がん(すいぞうがん)全体の1/3であり、遺伝子変異から罹患まで期間を考慮すると、50代の方は膵臓がん(すいぞうがん)の危険因子が存在する可能性が無視できない数になっていることが推定されます。

膵臓がん(すいぞうがん)の 5 年後生存率を上げるには

  1. 膵臓がんになった直後に症状が発生しない膵臓がんを発見するためには準備が必要です。
    当院では膵臓がんの画像診断上の危険因子を経過観察することで膵臓がんの発症するタイミングを予測することで、膵臓がんを早期発見し、5年後生存率を上げることを目指しています。
    1. 膵臓がんの診断ガイドライン=経過観察を求めています。

    2. 図は分枝型IPMNの診療アルゴリズム2017
    3. 出典
      1. 分枝型IPMNの診療アルゴリズム2017
    4. 膵臓がんの早期発見のために経過観察をすべきもの

    5. 以下の「膵臓がんの画像診断上の危険因子」が経過観察すべき所見です。これらは膵臓がんの遺伝子変異が生じた後、膵臓がんを発症するまでの間に生じ、膵臓がんの発症が近づくにつれ悪化します。
    6. 膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子

膵臓がん(すいぞうがん)の症状(画像診断上の危険因子)

  1. 膵臓がんの症状

    1. 膵臓(すいぞう)がんは初期の段階では症状が現れにくいのが特徴です。 膵臓がんは、遺伝子変異により膵臓がんを発症した後、たった2年で転移がんまで進行してしまう進行の速いがんであり、進行につれて発生する糖尿病の発病・悪化、食欲不振、腹痛、腹部膨満、腰や背中の痛み、黄疸などの症状を自覚したときにはかなり進んでしまっているということも多いので、症状を起点に膵臓がんを早期発見することはほとんど困難です。
    2. 気になる症状
        1. 膵臓(すいぞう)がんに伴いインスリン(血糖値を下げる働きをするホルモン)分泌能が低下することが原因で糖尿病を発病または悪化する場合があります。
          糖尿病の発病または悪化が確認できない場合には、急な体重減少に注意を払ってください。膵液の分泌が下がることで消化吸収する力が弱くなり、栄養をとりこめなくなることで生じます。
        1. 膵臓(すいぞう)がんを起因とする腹痛は以下のメカニズムで起こります。
          膵臓がんは膵管という膵液の通り道に好発します。膵臓がんが膵管に生じた場合、膵液の通り道をふさいでしまい、そのことが原因で膵液の流れが遮断される場合があります。こうなると流れが遮断された膵管の上流では行き場のない膵液が流れてくることで膵管が拡張して行きます。この時、膵管の内部の圧力が上昇することで膵臓に炎症が起こり、これが腹痛の原因となる場合があります(発熱を伴う場合もあります)。これを随伴性膵炎と言います。
        1. 膵臓(すいぞう)がんが原因で腰や背中が痛くなるという症状が現れる場合もあります。メカニズムは腹痛と同じです。
          ただ腰や背中の痛みは膵臓がんだけに特徴的な症状ではありませんので、その他の症状との合併に注意を払ってください。
        1. 膵臓(すいぞう)がんが原因で膨満感が生じる場合があります。
          腫瘍が大きくなり圧迫することで生じる場合もありますが、がんの影響により腹水が生じ、それ原因で膨満感となる場合もあります。
        1. 膵臓に腫瘍が出来、大きくなって行くと、接している臓器を圧迫していきます。
          膵臓は胃、大腸、十二指腸などに接していますので、これらが圧迫された場合、食事が取れなくなる場合があります。食欲不振やその結果の体重減少は注意すべき症状の可能性があります。
    3. 一方、膵臓がんは遺伝子変異が生じた後、発症するまでの間にMRI/CT等で見える画像所見(間接所見)があります。当院ではこの画像所見(間接所見)を膵臓がんが出現する前触れ症状と捉え、経過観察することで膵臓がんの早期発見を目指しています。
  2. MRI/CT等で見える画像所見(間接所見)

    1. 膵臓がんの発症は遺伝子変異後10年~15年と比較的長い期間を要します。
      その間にMRI/CT等で見える画像所見(間接所見)が現れますが、膵臓(すいぞう)がんの発症が近づくと確認される数が増えたり、その状態が悪化します。
      当院ではこの画像所見を膵臓がんの画像診断上の危険因子と定義し、経過観察を行うことで膵臓がんの発症タイミングを予測します。
    2. 膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子
    1. 膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子の診断方法

    2. 以下の手順で診断を行なっています。
    3. 第1段階
        膵臓がん(すいぞうがん)危険度の判断
      1. 画像検査で発見された画像診断上の検査で発見した危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓がん(すいぞうがん)の危険度を判断します。
      2. 「単独」かつ「複合的」に見るとは?
        1. 単独で見る
          画像診断上の危険因子自体の程度、経時的な変化で危険度を判断 します。
          複合的に見る
          画像診断上の危険因子が複数近接している場合、1つ1つの程 度、経時的な変化だけでなく、近接所見が複数存在していることで危険度が高いと判断します。
    4. 第2段階
        膵臓がん(すいぞうがん)の画像所見を丁寧に探します第1段階要注意の場合

      1. 検査で発見した画像上の危険因子を調査していきます。 膵臓がん(すいぞうがん)の危険度が高い場合には、膵臓がん(すいぞうがん)を見つけるべく、細心の注意で膵臓がん(すいぞうがん)の画像を探していきます。
      2. (注意)
        一般的な膵臓がん(すいぞうがん)は乏血性の為、造影画像が明らかな高信号を呈し ません。その為、膵臓がん(すいぞうがん)を見逃さないように上記の第 1 段階、第 2 段階という思考過程 が非常に重要になります。
    5. 第3段階
        経過観察期間を短く設定したり、検査内容を変更して膵臓がん(すいぞうがん)を探します。第1段階要注意の場合かつ第2段階膵臓がん(すいぞうがん)が見つからない場合
      1. 膵臓がん(すいぞうがん)が発見されなくても画像上の危険度が高いと判断される場合、膵臓がん(すいぞうがん)の早期診断を目指し以下の提案を行っています。 以下のどちらかを提案します。
        1. 再検査を推奨
        2. ・今回の検査が単純検査の場合:
        3. MRIまたはCTの造影検査の推奨またはEUS検査の推奨
        4. ・今回の検査が造影検査の場合:
        5. 今回検査がMRI造影検査の場合:CT造影検査の推奨またはEUS検査推奨
        6. 今回検査がC T造影検査の場合:MRI造影検査の推奨またはEUS検査推奨
        7. 次の経過観察期間を短く設定(1 年後ないし 2 年後ではなく、3〜6 か月後という短期に設定)
      2. 参考)
        1. 膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子はどのような期間で経過観察して行けば良いか(膵臓がん(すいぞうがん)はどのようなスピードで進行するか)?

膵臓がん(すいぞうがん)を早期発見するための検査

    1. 第1段階 症状や健康診断の数値異常が無い時に行う検査

        1. アミラーゼは、デンプンを糖に分解する消化酵素で、主に膵臓(すいぞう)、唾液腺から分泌されています。膵臓(すいぞう)に何らかの異常がある場合、膵臓(すいぞう)の細胞が破壊されることによって血液や尿の中にアミラーゼが流出し高い値を示します。一方、膵臓(すいぞう)の病気等の原因によりアミラーゼの生成量が減少した場合、値が低くなります。血液で測定するものを血清アミラーゼ、尿で測定するものを尿アミラーゼと言います。
          1. 正常値
          2. 血清アミラーゼ:40~122IU/L
            尿アミラーゼ:65~840IU/L
          3. 異常値の場合の疑い病名
            1. 基準値を超えている(血清アミラーゼ122IU/L以上、尿アミラーゼ840IU/L以上)の場合
            2. 急性/慢性膵炎、急性胆のう炎、急性虫垂炎、化膿性耳下腺炎、唾液腺閉塞、腎不全等が疑われます。
            3. 基準値未満(血清アミラーゼ40IU/L以下、尿アミラーゼ65IU/L以下)の場合
            4. 慢性膵炎、肝炎、肝硬変が疑われます。高度の糖尿病の場合も基準値未満を示す場合があります。
            5. 腫瘍マーカー(血液検査)の注意点
            6. 腫瘍マーカー(血液検査)は値が異常値であるとしてもがんがあるとは必ずしも言えないですし、がんがあっても異常値を示さない場合があります。その為、主たる検査として用いることは現時点で出来ません。
        1. 超音波(エコー)検査とは、超音波を対象物に当てて、その反射を映像化することで対象物の内部の状態を調査することのできる画像検査法の一つです。機器は安いものから高額なものまで存在し、多くの医療機関で装備されています。
          1. 膵臓(すいぞう)検査における超音波(エコー)検査の限界
          2. 超音波(エコー)は検診施設や多くの医療機関で装備されているので検査を受けるのは容易ですが、その一方で検査結果は以下のことを踏まえて理解する必要があります。
            1. 機器の限界
            2. 超音波(エコー)は機器による性能差が顕著であり、普及機においては出力が弱いものも多く、体内深い位置の膵臓(すいぞう)は見えづらい。また高性能の機器を用いても小さな膵臓(すいぞう)病変はそもそも検出能が高くない。
            3. 被験者の体形の限界
            4. 体形が大きかったり太っていると超音波が届きづらく、見えづらい。
            5. 医療従事者の限界
            6. 膵臓(すいぞう)を見る為には高度な技術が必要であり、膵臓(すいぞう)疾患を超音波(エコー)で見慣れている医療従事者は極めて少ない。
          3. 超音波(エコー)検査の注意点
          4. 超音波(エコー)で異常を指摘されなかったから安心という検査ではないことはご理解ください。
        1. MRI検査は身体に磁場を当て画像化する検査です。 通常の撮影の他にMRCP(MR-胆膵管撮影)、DWI(拡散強調像)を用いた場合、膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子の確認のみならず、膵臓がん(すいぞうがん)の診断も行える可能性のある検査です。
          MRIも超音波(エコー)検査同様、安い機器から高額な機器まで存在し、診断する能力には比較的大きな違いがありますが、超音波(エコー)のように技術による診断の差はあまりないことが特徴です。
          1. MRCP(MR-胆膵管撮影)
          2. 造影剤を用いないで膵管を映し出す画像です。
            膵がんの大部分は膵管壁から発生しますし、膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子である膵嚢胞(IPMNを含む)は多くが膵管に生じます。また、膵管の拡張、狭窄、途絶は直接診断出来る画像です。
        2. 関連記事はこちら
          1. 6.膵臓がん(すいぞうがん)の症状⇒膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子
             ①膵嚢胞(IPMNを含む)
             ②主膵管の拡張、狭窄、途絶
          1. DWI(拡散強調像)
          2. 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓がん(すいぞうがん)が描出されることがあります。
        3. 年代別死亡原因
          膵尾部に高信号がみられる症例。

          1. MRIで検出可能な膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子は以下の通りです。
          2. 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓がん(すいぞうがん)が描出されることがあります。
          1. 膵嚢胞(IPMNを含む):検出可能
            主膵管の拡張、狭窄・途絶:検出可能
            膵実質の限局的萎縮、くびれ:検出可能
            膵石灰化(慢性膵炎、膵石):検出不可能
          1. 当院からのご提案:膵臓(すいぞう)MRIドック
          2. 診断能の高いMRIにて安価なドックを実施中です
            当院では膵臓がん(すいぞうがん)の早期発見の為、安価な膵臓(すいぞう)MRIドックを設定し、診断能の高いMRI-MRCP検査をスクリーニング検査として利用しています。
    2. 第2段階 症状や健康診断の数値異常がある時に行う検査

    3. 第1ステップ スクリーニング検査

        1. アミラーゼは、デンプンを糖に分解する消化酵素で、主に膵臓(すいぞう)、唾液腺から分泌されています。膵臓(すいぞう)に何らかの異常がある場合、膵臓(すいぞう)の細胞が破壊されることによって血液や尿の中にアミラーゼが流出し高い値を示します。一方、膵臓(すいぞう)の病気等の原因によりアミラーゼの生成量が減少した場合、値が低くなります。血液で測定するものを血清アミラーゼ、尿で測定するものを尿アミラーゼと言います。
          1. 正常値
          2. 血清アミラーゼ:40~122IU/L
            尿アミラーゼ:65~840IU/L
          3. 異常値の場合の疑い病名
            1. 基準値を超えている(血清アミラーゼ122IU/L以上、尿アミラーゼ840IU/L以上)の場合
            2. 急性/慢性膵炎、急性胆のう炎、急性虫垂炎、化膿性耳下腺炎、唾液腺閉塞、腎不全等が疑われます。
            3. 基準値未満(血清アミラーゼ40IU/L以下、尿アミラーゼ65IU/L以下)の場合
            4. 慢性膵炎、肝炎、肝硬変が疑われます。高度の糖尿病の場合も基準値未満を示す場合があります。
            5. 腫瘍マーカー(血液検査)の注意点
            6. 腫瘍マーカー(血液検査)は値が異常値であるとしてもがんがあるとは必ずしも言えないですし、がんがあっても異常値を示さない場合があります。その為、主たる検査として用いることは現時点で出来ません。
        1. 超音波(エコー)検査とは、超音波を対象物に当てて、その反射を映像化することで対象物の内部の状態を調査することのできる画像検査法の一つです。機器は安いものから高額なものまで存在し、多くの医療機関で装備されています。
          1. 膵臓(すいぞう)検査における超音波(エコー)検査の限界
          2. 超音波(エコー)は検診施設や多くの医療機関で装備されているので検査を受けるのは容易ですが、その一方で検査結果は以下のことを踏まえて理解する必要があります。
            1. 機器の限界
            2. 超音波(エコー)は機器による性能差が顕著であり、普及機においては出力が弱いものも多く、体内深い位置の膵臓(すいぞう)は見えづらい。また高性能の機器を用いても小さな膵臓(すいぞう)病変はそもそも検出能が高くない。
            3. 被験者の体形の限界
            4. 体形が大きかったり太っていると超音波が届きづらく、見えづらい。
            5. 医療従事者の限界
            6. 膵臓(すいぞう)を見る為には高度な技術が必要であり、膵臓(すいぞう)疾患を超音波(エコー)で見慣れている医療従事者は極めて少ない。
          3. 超音波(エコー)検査の注意点
          4. 超音波(エコー)で異常を指摘されなかったから安心という検査ではないことはご理解ください。
        1. MRI検査は身体に磁場を当て画像化する検査です。 通常の撮影の他にMRCP(MR-胆膵管撮影)、DWI(拡散強調像)を用いた場合、膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子の確認のみならず、膵臓がん(すいぞうがん)の診断も行える可能性のある検査です。
          MRIも超音波(エコー)検査同様、安い機器から高額な機器まで存在し、診断する能力には比較的大きな違いがありますが、超音波(エコー)のように技術による診断の差はあまりないことが特徴です。
          1. MRCP(MR-胆膵管撮影)
          2. 造影剤を用いないで膵管を映し出す画像です。
            膵がんの大部分は膵管壁から発生しますし、膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子である膵嚢胞(IPMNを含む)は多くが膵管に生じます。また、膵管の拡張、狭窄、途絶は直接診断出来る画像です。
        2. 関連記事はこちら
          1. 6.膵臓がん(すいぞうがん)の症状⇒膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子
             ①膵嚢胞(IPMNを含む)
             ②膵管の拡張、狭窄、途絶
          1. DWI(拡散強調像)
          2. 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓がん(すいぞうがん)が描出されることがあります。
        3. 年代別死亡原因
          膵尾部に高信号がみられる症例。

          1. MRIで検出可能な膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子は以下の通りです。
          2. 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓がん(すいぞうがん)が描出されることがあります。
          1. 膵嚢胞(IPMNを含む):検出可能
            膵管の拡張、狭窄・途絶:検出可能
            膵実質の限局的萎縮、くびれ:検出可能
            膵石灰化(慢性膵炎、膵石):検出不可能
          1. 当院からのご提案:膵臓(すいぞう)MRIドック
          2. 診断能の高いMRIにて安価なドックを実施中です
            当院では膵臓がん(すいぞうがん)の早期発見の為、安価な膵臓(すいぞう)MRIドックを設定し、診断能の高いMRI-MRCP検査をスクリーニング検査として利用しています。
    4. 第2ステップ 画像診断において膵臓がん(すいぞうがん)の診断を行うための検査

        1. MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)に造影剤を用いた画像を付加した検査です。
          膵臓がん(すいぞうがん)は殆どが乏血性のがんなので造影検査時に鮮明な濃染画像を示しません。そのような乏血性のがんは、造影検査後にがん組織から造影剤が抜けづらいという構造を探しに行きます。他の組織からは造影剤が抜けている状況の中、がん組織にだけ造影剤が留まる為、遅れたときに染まる=遅延濃染と言い、造影後時間が経った画像を用いて診断します。
            特徴(検査のメリット)
          1. 造影剤を用いることで、膵臓がん(すいぞうがん)を直接捉えられる可能性が高くなっています。
        2. 関連記事はこちら
          1. 7.膵臓がん(すいぞうがん)を早期発見するための検査
              ②超音波(エコー)検査
              ③MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)
        1. CT検査は身体にX線を照射し、様々な角度から画像を見ることの出来る検査です。がんを探索する場合、造影剤を用いることでがん組織が造影剤を吸収して光る為、がんを探すのに適した検査です。
          膵臓がん(すいぞうがん)は前述の通り乏血性のがんであるため、造影後の遅延濃染にて判断します。造影後の遅延相で、この遅れて染まる部分(他の組織からは造影剤が抜けている状況の中、がん組織にだけ造影剤が留まる部分)を捉えることで、膵臓(すいぞう)がんを診断することができます。
          1. 特徴(検査のメリット)
          2. CTでは広範囲の検査が可能ですので、膵臓がん(すいぞうがん)の有無の検出にとどまらず、膵臓がん(すいぞうがん)で心配な肝臓やリンパ節への転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)の確認が同時に可能です。
            また、膵臓がん(すいぞうがん)の画像上の危険因子のうち、MRIが不得意な石灰化はCTで拾い上げることが可能です。
          3. CTで検出可能な膵臓がん(すいぞうがん)の画像診断上の危険因子は以下の通りです。
            1. 膵嚢胞(IPMNを含む):脂肪置換との区別がやや困難です。
              膵管の拡張、狭窄・途絶:検出可能
              膵実質の限局的萎縮、くびれ:検出可能
              膵石灰化(慢性膵炎、膵石):検出不可能
      1. 超音波内視鏡検査(EUS)は内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。 通常の超音波検査では超音波が届きにくかったデメリットを克服するための検査で、胃の先にある膵臓(すいぞう)を目掛けて内視鏡が進み、膵臓(すいぞう)に達すると膵管内に内視鏡を入れ、そこから超音波で膵臓がん(すいぞうがん)を探します。 特殊な装置が必要であり、検査は膵臓(すいぞう)の専門医が行う必要がある一方、検査料金が安く採算性が低いため、実施医療機関、実施検査数が少ないのが実情です。
    5. 第3ステップ 生検-確定診断

        1. EUS-FNAは、超音波内視鏡検査(EUS)で膵管内を内視鏡で進み、膵臓がん(すいぞうがん)と思われる部分を穿刺し、膵臓がん(すいぞうがん)か否かを確認する検査です。
          ESU-FNAは多くの膵臓(すいぞう)を専門とする多くの病院で検査~診断体制が用意されています。
          1. EUS-FNAの限界
          2. EUSは膵管内に膵臓がん(すいぞうがん)と思われる組織がある場合には有効ですが、膵管外に膵臓がん(すいぞうがん)と思われる個所がある場合にはEUS-FNAで検査を行うことは出来ません。
        1. ERCPは、膵液を採取することで膵臓がんの生検を行います。
          デメリットとして急性膵炎をおこす危険性や、技術的な難しさ等があります。
      1. 当院は7大学病院を含む9病院の膵臓を専門領域とする医師による膵臓専門外来(膵胆管外来)を設置し、膵臓(すいぞう)がんの早期発見の為に、主としてMRI/CT検査を以下のように実施しています。

    現時点で症状のない方、超音波など別の検査で異常が指摘されていない方

    1. MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)を推奨しています。
      保険診療で検査が行えない方を対象に以下の検査を実施しています。
      1. 特別価格のMRI膵臓ドック
      2. 標準価格27,000円+消費税を特別価格 15,000円+消費税で実施
        臨床研究
      1. 膵臓MRIドック費用の補助(最大6000円の補助)
        上記の膵臓MRIドックが研究費の補助があることで最低価格 9,000円+消費税で受けることが出来ます。

    上記以外の方(既に症状があったり、他の検査機器で異常を指摘されている方)

    1. CT-造影検査またはMRI-造影検査を行います。CT、MRIとも造影一任検査(注)という選択肢もあります。
      1. (注)造影一任検査
      2. 腫瘍の存在が明らかでない場合に検査画像を見た上で造影剤の使用を判断する検査です。
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      1. 造影一任検査について
        当院医師の体制

    検査後について

      1. 膵臓がんの存在が疑われる場合
      2. MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)を行った場合には、CT-造影検査を再検査として行った後、当院外来へ医師を派遣している7大学病院を含む9病院へEUS検査、EUS-FNA検査、ERCP検査を目的とした紹介を行います。
      3. 膵臓がんの画像診断上の危険因子が発見された場合
      4. 主としてMRI-MRCP検査(造影剤を持ちないで行う検査)による経過観察を推奨しています。
        CT検査でないと見えない膵臓がんの画像診断上の危険因子も存在する為、CT検査を用いる場合もあります。
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      1. 7.膵臓がん(すいぞうがん)を早期発見するための検査、検査後について
        当院で行っている膵臓(すいぞう)がんの早期発見の為の診断方法について

膵臓がん(すいぞうがん)の治療

  1. 膵臓がん(すいぞうがん)を発見した段階によって治療の選択肢が変わります。早期発見することが出来れば膵臓(すいぞう)の機能を温存出来る可能性も残されていることに留意をしてください。
    膵臓(すいぞう)の役割に関しては、膵臓(すいぞう)の機能を参照してください。
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    1. 2.膵臓(すいぞう)の機能
    1. 超早期発見が行われた場合:上皮内がん(ステージ0)~ステージ1A(膵臓がん(すいぞうがん)1㎝メートルまで)腹腔鏡による手術が可能な病院もあります

    2. 抗がん剤の治療無しに部分切除を行える可能性があります。
      部分切除を行うことで膵臓(すいぞう)の機能を温存出来る可能性が残されます。
    3. 早期発見が行われた場合:ステージ1Bないしステージ2のうち切除可能な場所にある膵臓がん(すいぞうがん)腹腔鏡による手術が可能な病院もあります

    4. 薬物治療を行った上で切除を行い、更に薬物療法を行う治療が一般的です。
      部分切除を行える可能性が残されています。
      部分切除を行うことが出来れば、膵臓(すいぞう)の機能を温存できる可能性があります。
    5. 切除可能/不能の境界の膵臓がん(すいぞうがん)と判断された膵臓がん(すいぞうがん)

    6. 化学療法又は化学放射線療法を実施した後に手術の可否を判断することになります。
    7. その他の膵臓がん(すいぞうがん) 切除不能な膵臓がん(すいぞうがん)

    8. 化学療法を中心にした治療を行うことが一般的です。

連携病院

  1. 当院にて以下の7つの大学病院を含む9総合病院の膵臓(すいぞう)を専門とする内科医、外科医が外来(膵臓(すいぞう)を専門とする膵臓がん専門外来)を設置しています。 当院にて膵臓がん(すいぞうがん)の早期診断を行なった場合、膵臓がん(すいぞうがん)の出現の可能性が極めて高く生検を行う必要がある場合には、これらの病院に紹介を行います。
    1. 東京都

    2. 公益財団法人 がん研究会 有明病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      761 117 354 2位
    3. 東京医科大学病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      388 73 117 5位
    4. 東京大学医学部附属病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      328 61 87 6位
    5. 東京女子医科大学病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      307 69 59 7位
    6. 帝京大学医学部附属病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      181 26 73 17位
    7. 東京慈恵会医科大学附属病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      172 37 67 19位
    8. 慶應義塾大学病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      158 39 58 23位
    9. 聖路加国際病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(東京都)
      71 21 19 41位
    10. 茨城県

    11. 筑波大学附属病院 外来の詳細ご予約
      治療実績
      合計件数 手術あり 手術なし 順位(茨城県)
      229 56 63 1位
    12. (出典:caloo「膵臓(すいぞう)、脾臓の腫瘍」より)
      ※DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の合計治療実績 (2020年4月〜2021年3月退院患者)
当サイト監修
Seishi Sawano, MD, PhD
澤野 誠志 放射線診断専門医
AIC八重洲クリニック 理事長 院長 / 
AIC画像検査センター 理事長
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