膵石灰化(慢性膵炎・膵石)

膵石灰化(慢性膵炎・膵石)とは

  1. 膵臓(すい臓)は、①多くの消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌して食べ物を体内で消化するはたらきと、②インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して体内の糖分をコントロール(血糖のコントロール)するはたらきを担っています。
  2. 慢性膵炎は、長期間にわたって膵臓(すい臓)の炎症が持続することによって、この①②の働きがいずれも徐々に衰えていく病気であり、その際に膵臓(すい臓)が硬くなったり(線維化)、石(膵石)が出来たりします。
    膵石(膵石灰化)が慢性膵炎の可能性があり、慢性膵炎は膵臓がん(すい臓がん)のリスクを増大させることがわかっていますので、当院では膵石(石灰化)も経過観察を必要としています。
  3. 膵実質にできる「石灰化」、膵管の中にできる「膵石」は多くが慢性膵炎にみられる所見です。石灰化や膵石に近接した部位には、非常に長い期間をかけて発がんすることがわかってきており、共に膵がんのリスクファクターです。中でも膵石は膵がんの危険度が健常人に比べ約27 倍と膵がんの高危険群で、膵がん症例における膵石の合併頻度は4.5%との報告があります。石灰化、膵石所見が見つかった 場合は半年~ 1年周期で超音波検査やMRI検査・CT 検査等で経過観察を推奨しています。

膵石灰化(慢性膵炎・膵石)以外の画像所見が確認された事例

  1. 膵石灰化(慢性膵炎・膵石)が発見される所見では、膵管拡張、膵嚢胞、膵萎縮など、その他の画像所見も確認されます。
    これらは、膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見であり、これらの所見は膵臓がん(すい臓がん)の発症が近づくと数が増えたり、悪化することがわかっていますが、その悪化は以下のような種類に分けられます。
      [画像所見の悪化のパターン]
    1. ・単独所見が経過観察で悪化
      ・複数の所見が経過観察で悪化
      ・所見の確認される数が経過観察で増加していくことによる悪化
    2. 下記は、膵石灰化(慢性膵炎・膵石)と同時に他の膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見が発見された事例です。
  2. 複数の膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見を同時に見ることでIPMNや膵管に出来る膵臓がん(すい臓がん)だけでなく、それらの近傍部に出来る膵臓がん(すい臓がん)を経験しています。
  3. 実際の膵臓がん(すい臓がん)の早期発見事例

    1. 膵石灰化(慢性膵炎・膵石)、膵臓がん(すい臓がん)早期発見の事例です。
        • 事例
          5
          膵臓がんステージ
          ステージ0
        • 検査機器CT
          造影
          危険因子
          肥満
          慢性膵炎
          加齢

          膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見
          膵嚢胞(IPMNを含む) 主膵管及び分枝膵管の拡張、狭窄、途絶 膵の限局的萎縮、くびれ 膵石灰化(慢性膵炎・膵石)
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        • 事例
          2
          膵臓がんステージ
          ステージ0
        • 検査機器CT
          造影
          危険因子
          飲酒
          加齢

          膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見
          膵嚢胞(IPMNを含む) 主膵管及び分枝膵管の拡張、狭窄、途絶 膵の限局的萎縮、くびれ 膵石灰化(慢性膵炎・膵石)
          詳しく見る↗
  1. その他の膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見

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当院の診断体制をご紹介します
  • 経過観察で悪化しているか診断
    「MRI/CT等の画像検査で膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見」があります。 当該所見は膵臓がんの発症が近づくと悪化することがわかっていますので、経過観察時に行った検査画像を元にその差を診断することが非常に重要です。
  • スコアリングシート
    診断プロセスは画像診断報告書に記載されており、過去の診断書と見比べることで当該画像所見の推移がわかりますが、これをよりわかりやすくするため、膵臓スコアリングシートを作成しています。 膵臓がんを早期発見するための取組み
  • 全12病院の医師が診察
    当院膵臓外来は以下の病院(全12病院)から消化器内科、消化器外科のうち膵臓疾患に携わる医師、放射線科医を招いて開設しています。 1公益財団法人がん研究会 有明病院 2筑波大学附属病院 3東京女子医科大学病院 4東京大学医学部附属病院 5東邦大学医療センター大橋病院 6順天堂大学医学部附属順天堂医院 7聖路加国際病院 8慶應義塾大学病院 9東京医科大学病院 10東京医科大学病院 11帝京大学医学部附属病院 12東京慈恵会医科大学附属病
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当サイト監修
Seishi Sawano, MD, PhD
澤野 誠志 放射線診断専門医
AIC八重洲クリニック 理事長 院長 / 
AIC画像検査センター 理事長
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