膵臓がんに向かう途上で確認されることの多い画像所見に関するQ&A/ IPMNについて Q03
Q

膵嚢胞(IPMNを含む)、主膵管拡張、膵限局性萎縮などの経過観察は、どの程度の期間で行えば良いですか?
A
答え:膵嚢胞(IPMNを含む)、主膵管拡張、膵限局性萎縮などは膵臓がんの遺伝子変異が既に生じていることを予期する画像所見です。これらの画像所見は膵臓がんの出現が近づくと悪化することがわかっている為、当初は12か月~24か月のスパンで経過観察を行いますが、所見の悪化を確認した場合には、経過観察期間を短く(6か月以内)設定して膵臓がんの早期発見を目指しています。

(膵臓がんの特徴)
- 1.
- 膵臓がんとなると成長が早い
膵臓がんは一般的に上皮内がん(ステージ0の膵臓がん)が生じてから約2年で転移すると言われています(膵臓がんになると進行が早い)。成長の早い膵臓がんですが、初期のがんの成長速度は比較的緩やかであり、がんが大きくなるにしたがって増大する速度も速くなっているようです(膵臓がんの進行速度参照)。 - 2.
- 膵臓がんの遺伝子変異から膵臓がんになるまでの期間は長い
膵臓がんは遺伝子変異を起こした後、膵臓がんとなるまでは10年~15年と非常に長期間を要することがわかっています。 - 3.
- 膵臓がんの遺伝子変異を起こしていることは画像所見で確認できます。
膵嚢胞(IPMNを含む)、主膵管拡張、膵限局性萎縮などは膵臓がんの遺伝子変異が生じたことを予期する画像所見です。継続的に経過観察をしていくと膵臓がんの出現が近づくと悪化します。この仕組みを手掛かりに膵臓がんが出現するタイミングを予測しています。
(内容)
IPMNに関する詳細は以下のページを参照してください。
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suinouhou.html
主膵管拡張及び分枝膵管の拡張に関する詳細は以下のページを参照してください。
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suikan-kakutyou.html
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suinouhou.html
主膵管拡張及び分枝膵管の拡張に関する詳細は以下のページを参照してください。
https://www.m-satellite.jp/suizou_hp/checklist/suikan-kakutyou.html
参考 )
膵臓がんがどのようなスピードで進行するのか。
膵臓がんは一般的に悪性度が高いとされており、がんの進行速度が早いといわれます。しかし、どのような日数でどの程度進行するかということを研究した論文は非常に少なく、正確な進行速度はわかっていません。
以下の膵臓がんの経過は、当院ではない、ある病院で行われた腎臓がんフォローアップ症例です。検査の主目的が腎臓がんであったために、並列で発症していた膵臓がんが一定期間見逃されていました。膵臓がんの進行速度を示す、大変貴重なデータとなりましたので、この症例からわかることを以下にまとめました。

