事例紹介/事例03 病理診断の結果: ステージ0の膵臓がん

当事例の概要

数年前との比較検査です。主膵管壁の不正、蛇行、広狭不整を指摘しており、主膵管の拡張もありますがいずれも軽微であり画像上はこれを強く指摘して良いか判断に迷うこともあるような画像です。 現状、当院の診療基準である膵体部の萎縮について前回よりやや萎縮の程度が強くなっている可能性があるとの印象から詳細に所見を検討しました。
当検査は非造影の検査でありましたが、脂肪抑制T1画像にてくびれ部分に低信号域が存在していることから膵臓がんの可能性を指摘しました。

病理結果

上皮内がん pTis pN0 MX. Stage0, pR0

撮影内容

MRI(造影無)

所見

2015/03/19のMRI検査と比較しました。
膵体部にくびれ状の萎縮を認めます。見直すと前回も同様の萎縮が見られていましたが、今回はくびれ状の部分に11mmの脂肪抑制T1WI低信号で11mmの低信号が出現しています。MRCPではくびれ状の部分に主膵管壁の不整が見られます。(図1-4)

膵体尾部(上記くびれより膵尾部側)に不均一な萎縮を認め、主膵管の軽度蛇行、広狭不整、軽度分枝拡張が見られます。膵鉤部には6mmの嚢胞、膵頭部の軽度分枝拡張を認めます。(5-6)
主膵管は最大3.4mmに軽度拡張しています。(図4-5)

肝、左腎に微小嚢胞を認めます。 胆嚢、副腎、脾臓に異常所見を認めません。 上腹部にリンパ節腫大、腹水貯留を認めません。

診断

膵体部のくびれ状萎縮。脂肪抑制T1WI低信号と主膵管壁の不整が出現しています。
膵体尾部の不均一萎縮、主膵管広狭不整、軽度分枝拡張。
膵頭部嚢胞、軽度分枝拡張。

主膵管の軽度拡張。
 :膵体部に初期の膵腫瘍が疑われます。
造影CT検査やEUS、細胞診(ENPD/FNA)などの精査をおすすめします。

肝、左腎の嚢胞。

当サイト監修
Seishi Sawano, MD, PhD
澤野 誠志 放射線診断専門医
AIC八重洲クリニック 理事長 院長 / 
AIC画像検査センター 理事長
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