膵臓(すいぞう)がんについて
- 膵臓(すいぞう)に出来る癌です。膵臓がんについてわかっていることを整理すると以下の通りです。
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- 膵臓(すいぞう)がんの死亡者数が多い原因は、膵臓(すいぞう)がんが「発見がしづらい」がんであることと「治療がしづらい」がんであることに拠ります。
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膵臓(すいぞう)は胃の裏側にあり、曲がりくねった細長い臓器です。膵臓(すいぞう)がんの初期段階では自覚症状がない場合が多く、自覚症状の出現時には進行している場合が多いのが特徴です。
また、以下の検査においても、簡単に発見できるものではなく、発見がしづらい状況があります。 -
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採血の腫瘍マーカー
- 早期の膵臓(すいぞう)がんは腫瘍マーカーでは測定出来ないことが多いです。 超音波(エコー検査)
- 膵臓(すいぞう)が体の奥にあるため超音波が届きづらく、どうしても不明瞭となりやすい部分があります。 CT/MRI検査
- 膵臓(すいぞう)がんは殆どが乏血性の為、一般的な癌と比べ、がんの陰影が判断しづらい状況です。MRI-DWI、CT-低管電圧等、膵臓(すいぞう)がんの見逃し防止措置や読影医師が症例を多くこなすことが見逃しを減らします。 内視鏡検査
- 胃の通常の内視鏡検査では膵臓(すいぞう)は観察不能です。超音波内視鏡という特殊な検査で行う必要がありますが、採算性が悪く、実施医療機関は非常に少ない状況です。
- 膵臓(すいぞう)は比較的薄い臓器のため、癌が発生すると膵外に浸潤しやすく、周囲の重要な血管に浸潤したり、転移があれば手術できないことも多くあります。 このように膵臓(すいぞう)がんは発見時に手術出来ない方が多く見られるほか、手術も難易度が高く、治療成績も全ての癌の中で最も成績の悪い癌です。
- しかし、早期発見の小病変の場合には、最近は腹腔鏡下手術も行われるようになり、良好な成績が得られています。
発見がしづらい
治療がしづらい
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膵臓(すいぞう)は胃の裏側にあり、曲がりくねった細長い臓器です。膵臓(すいぞう)がんの初期段階では自覚症状がない場合が多く、自覚症状の出現時には進行している場合が多いのが特徴です。
膵臓(すいぞう)がんとは
- 膵臓(すいぞう)の実質には膵液の通り道(膵管)が通っており、十二指腸(胃から繋がっている消化を行う臓器)まで繋がっています。
膵臓(すいぞう)の機能
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K-ras、p16、CDKN2A、p53、Smad4 に遺伝子変異が生じた結果、上皮内癌(ステージ 0 の膵臓(すいぞう)がん、以下「ステージ 0」と表記します)となり、上皮内癌(ステージ0の膵臓(すいぞう)がん)となってからは分子異常が加速度的に進み、浸潤癌が発生します。
初期の遺伝子変異から上皮内癌(ステージ0の膵臓(すいぞう)がん)の発生までの期間は 10 年~15 年、上皮内癌(ステージ0の膵臓(すいぞう)がん)が生じてから転移までの期間は約 2 年とされています。 - K-ras、p16、CDKN2A、p53、Smad4 の遺伝子変異が生じると、膵臓(すいぞう)がんが発症する前に以下のような間接所見(以下「膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子」と言います)が現れ、膵臓(すいぞう)がんの発症が近づくと確認される数が増えたり、悪化することがわかっています。
- 膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子
- 当院ではこの膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子を経過観察することで、上皮内がん(ステージ0の膵臓(すいぞう)がん)が生じた後、出来るだけ早期での膵臓(すいぞう)がんの診断を目指しています。
膵臓(すいぞう)がんの原因=遺伝子変異
膵臓(すいぞう)がんの遺伝子変異後、発症までの間に生じる画像上の間接所見(膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子)
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K-ras、p16、CDKN2A、p53、Smad4 に遺伝子変異が生じた結果、上皮内癌(ステージ 0 の膵臓(すいぞう)がん、以下「ステージ 0」と表記します)となり、上皮内癌(ステージ0の膵臓(すいぞう)がん)となってからは分子異常が加速度的に進み、浸潤癌が発生します。
膵臓(すいぞう)がんの原因
- 以下のチェックリストをご確認ください。1つでも該当する場合には注意が必要です。
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チェックリスト
- 家族に膵臓(すいぞう)がんになった人が居る。
- 現在、糖尿病の治療をしている。
- 1日の平均飲酒量が、ビール:900ml、ワイン:グラス3杯 以上である。
- 喫煙をしている 又は 過去に喫煙をしていた。
- BMI値や内臓脂肪量が肥満の分類に入る。
- 慢性膵炎で治療中である。CT検査で膵臓(すいぞう)の石灰化などの指摘をされたことがある。
- 50歳を超えている。※注※注 膵臓(すいぞう)がんの遺伝子変異が起きた場合、膵臓(すいぞう)がんが発症するまでの期間は10~15年であることがわかっています。一方、60代までの膵臓(すいぞう)がんの罹患率は膵臓(すいぞう)がん全体の1/3であり、遺伝子変異から罹患まで期間を考慮すると、50代の方は膵臓(すいぞう)がんの危険因子が存在する可能性が無視できない数になっていることが推定されます。
膵臓(すいぞう)がんの発症リスクの高い方
- 膵臓(すいぞう)がんの 5 年後生存率は 12.1%、平均するとステージ2と3の間で膵臓(すいぞう)がんが発見される結果となっており、発見の遅れが 5 年後生存率の低下に直結しています。
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5 年後生存率を 80%程度まで引き上げるために、Stage1Aの早期(癌が膵内に限局しており、1cm 以下)までの発見を目指す必要があります。
その為には上記3(2)膵臓(すいぞう)がんの遺伝子変異後、発症までの間に生じる画像上の間接所見(膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子)に記載してある通り、膵臓(すいぞう)がんの原因となる遺伝子変異に伴う画像所見を見つけ、その状態を丁寧に経過観察して行き、膵臓(すいぞう)がんの出現するタイミングを予測していく必要があります。詳細は「7.膵臓(すいぞう)がんを早期発見するための検査」をご参照下さい。 -
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ステージ T N M Stage 0 Tis(上皮内癌=Stage0) N0
(領域リンパ節転移無し)M0(遠隔転移、領域リンパ節
を超えるリンパ節転移無し)Stage I A T1(膵内限局癌、2㎝以下) N0 M0 Stage I B T2(膵内限局癌、2㎝超) N0 N0 Stage II A T3(膵外進展だが腹腔動脈もしくは
上腸間膜動脈に及ばない)N0 N0 Stage II B T1から3 N1
(領域リンパ節転移あり)M0 Stage III T4(膵外進展、腹腔動脈もしくは
上腸間膜動脈に及ぶ)N0から1 M0 Stage IV T1からT4 N0から1 M1(遠隔転移、領域リンパ節
を超えるリンパ節転移あり) - (出典:国立がん研究センター東病院「病期(ステージ)ステージ分類とTNM分類」より)
膵臓(すいぞう)がんの 5 年後生存率を上げるには
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膵臓(すいぞう)は癌が発生しても初期の段階では症状が現れにくい臓器です。
進行すると糖尿病の発病、食欲不振、腹痛、腹部膨満、腰や背中の痛み、黄疸などを生じますが、症状が出た段階で検査を実施した場合、その殆どは早期発見とはなりません。
ところが上記3(2)膵臓(すいぞう)がんの遺伝子変異後、発症までの間に生じる画像上の間接所見(膵 臓がんの画像診断上の危険因子)が症状が無くても出現することがわかっています。この画像所見を症状と考え、以下のように経過観察を行うことで膵臓(すいぞう)がんの早期発見を目指します。 -
- 膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子とは、「3.膵臓(すいぞう)がんの原因」に記載した通り膵臓(すいぞう)がんの遺伝子変異が生じた後に画像検査にて確認が出来る間接所見であり、膵臓(すいぞう)がんの発症が近づくと確認される数が増えたり、悪化することがわかっているものです。 当院では以下の4つを「膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子」として規定しています。
- [膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子]
膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子とは?
- 以下の手順で診断を行なっています。
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第1段階
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膵臓(すいぞう)がん危険度の判断
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- 画像検査で発見された画像診断上の検査で発見し危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓(すいぞう)がんの危険度を判断します。
「単独」かつ「複合的」に見るとは?
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単独で見る…画像診断上の危険因子自体の程度、経時的な変化で危険度を判断 します。複合的に見る…画像診断上の危険因子が複数近接している場合、1つ1つの程 度、経時的な変化だけでなく、近接所見が複数存在していることで危険度が高いと判断します。
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- 画像検査で発見された画像診断上の検査で発見し危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓(すいぞう)がんの危険度を判断します。
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第2段階
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膵臓(すいぞう)がんの画像所見を丁寧に探します第1段階要注意の場合
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- 検査で発見した画像上の危険因子を調査していきます。 膵臓(すいぞう)がんの危険度が高い場合には、膵臓(すいぞう)がんを見つけるべく、細心の注意で膵臓(すいぞう)がんの画像を探していきます。
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(注意)一般的な膵臓(すいぞう)がんは乏血性の為、造影画像が明らかな高信号を呈し ません。その為、膵臓(すいぞう)がんを見逃さないように上記の第 1 段階、第 2 段階という思考過程 が非常に重要になります。
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第3段階
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経過観察期間を短く設定したり、検査内容を変更して膵臓(すいぞう)がんを探します。第1段階要注意の場合かつ第2段階膵臓(すいぞう)がんが見つからない場合
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- 膵臓(すいぞう)がんが発見されなくても画像上の危険度が高いと判断される場合、膵臓(すいぞう)がんの早期診断を目指し以下の提案を行っています。 以下のどちらかを提案します。
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再検査を推奨
- ・今回の検査が単純検査の場合:
- MRIまたはCTの造影検査の推奨またはEUS検査の推奨
- ・今回の検査が造影検査の場合:
- 今回検査がMRI造影検査の場合:CT造影検査の推奨またはEUS検査推奨
- 今回検査がC T造影検査の場合:MRI造影検査の推奨またはEUS検査推奨 次の経過観察期間を短く設定(1 年後ないし 2 年後ではなく、3〜6 か月後という短期に設定)
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出典
- 参考)膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子はどのような期間で経過観察して行けば良いか(膵臓(すいぞう)がんはどのようなスピードで進行するか)?
膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の診断方法
膵臓(すいぞう)がんの症状(画像診断上の危険因子)
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3.膵臓(すいぞう)がんの原因(1)膵臓(すいぞう)がんの原因=遺伝子変異の通り、膵臓(すいぞう)がんの原因は遺伝子変異です。
遺伝子変異が生じると6.膵臓(すいぞう)がんの症状(1)膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子とは?の通り画像検査で補足可能な所見が出現することがわかっています。 -
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膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子を確認することが出来る画像検査のうち造影剤を用いないで行える検査
- 超音波(エコー)検査とMRI-MRCP検査です。 超音波(エコー)検査とMRI-MRCP検査の診断能
- 超音波(エコー)検査ではどうしても超音波が届かない領域が生じてしまう為、MRI-MRCP検査の方が診断能が高い検査を行うことが出来ます。
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MRI-MRCP検査と超音波(エコー)検査の診断能 ①水嚢胞(IPMNを含む) ②膵管及び分枝膵管の拡張、狭窄、途絶 ③膵の限局的委縮、くびれ ④膵石灰化(慢性膵炎・膵石) MRI-MRCP検査 ◎ ◎ ◎ × 超音波(エコー)検査 ○ ○ △ ○
当院からのご提案:膵臓(すいぞう)MRIドック
- 当院では膵臓(すいぞう)がんの早期発見を行う為、多くの方に受診をしていただきやすいようMRI検査料金を思い切って値下げしました。
- (お申込み)
- 6.膵臓(すいぞう)がんの症状(1)膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子とは?は、膵臓(すいぞう)がんの出現が近づくと画像所見が悪化したり、複数の画像所見が現れることがわかっています。その為、以下のような診断体制を整備し、膵臓(すいぞう)がんの早期発見を目指しています。
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第1段階
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膵臓(すいぞう)がん危険度の判断
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- 画像検査で発見された画像診断上の危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓(すいぞう)がんの危険度を判断します。
「単独」かつ「複合的」に見るとは?
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単独で見る…画像上の危険因子自体の程度、経時的な変化で危険度を判断 します。複合的に見る…画像上の危険因子が複数近接している場合、1つ1つの程 度、経時的な変化だけでなく、近接所見が複数存在していることで危険度が高いと判断します。
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- 画像検査で発見された画像診断上の危険因子を「単独」かつ「複合的」に見ていくことで、膵臓(すいぞう)がんの危険度を判断します。
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第2段階
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膵臓(すいぞう)がんの画像所見を丁寧に探します第1段階要注意の場合
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- 検査で発見した画像上の危険因子を調査していきます。 膵臓(すいぞう)がんの危険度が高い場合には、膵臓(すいぞう)がんを見つけるべく、細心の注意で膵臓(すいぞう)がんの画像を探していきます。
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(注意)一般的な膵臓(すいぞう)がんは乏血性の為、造影画像が明らかな高信号を呈し ません。その為、膵臓(すいぞう)がんを見逃さないように上記の第 1 段階、第 2 段階という思考過程 が非常に重要になります。
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第3段階
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経過観察期間を短く設定したり、検査内容を変更して膵臓(すいぞう)がんを探します。第1段階要注意の場合かつ第2段階膵臓(すいぞう)がんが見つからない場合
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- 膵臓(すいぞう)がんが発見されなくても画像上の危険度が高いと判断される場合、膵臓(すいぞう)がんの早期診断を目指し以下の提案を行っています。 以下のどちらかを提案します。
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再検査を推奨
- ・今回の検査が単純検査の場合:
- MRIまたはCTの造影検査の推奨またはEUS検査の推奨
- ・今回の検査が造影検査の場合:
- 今回検査がMRI造影検査の場合:CT造影検査の推奨またはEUS検査推奨
- 今回検査がC T造影検査の場合:MRI造影検査の推奨またはEUS検査推奨 次の経過観察期間を短く設定(1 年後ないし 2 年後ではなく、3〜6 か月後という短期に設定)
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出典
- 参考)膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子はどのような期間で経過観察して行けば良いか(膵臓(すいぞう)がんはどのようなスピードで進行するか)?
膵臓(すいぞう)がんを早期発見する為の基礎事項
当院で行っている膵臓(すいぞう)がんの早期発見の為の診断方法(6.膵臓(すいぞう)がんの症状(2)膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の診断方法)について
- 当院と他院の診断方法の違いについて
診断方法の違いが生じる個所は「①膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の範囲」と「②膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の診断の仕方」の2つです。 -
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膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の範囲
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画像上の危険因子 他病院の診療基準 当院における膵臓(すいぞう)がんの診療 ①膵嚢胞(IPMNを含む) ● ● ②膵管及び分枝膵管の拡張、狭窄、途絶 ● ● ③膵の限局的萎縮、くびれ ● ④膵石灰化(慢性膵炎・膵石) ●
膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の診断の仕方
- 7.膵臓(すいぞう)がんを早期発見するための検査 (2)当院で行っている膵臓(すいぞう)がんの早期発見の為の診断方法 ①膵臓(すいぞう)がんの危険度の判断 に記載してある通り、膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子を単独に見るだけでなく、複合的に見ていきます。
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(理由)
- 膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の1つを見ると、経過観察時にあまり悪化していない場合でも、周辺に複数の危険因子が生じることで膵臓(すいぞう)がんが発症していた事例を経験したことによる変更部分です。
- 例えば以下のような修正を行うことになります。
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膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子
- 以下が医療機関で一般的に行われている検査です。
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症状や異常が無い時に行う検査
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血液検査(血清アミラーゼ)/尿検査(尿アミラーゼ)
- アミラーゼは、デンプンを糖に分解する消化酵素で、主に膵臓(すいぞう)、唾液腺から分泌されています。膵臓(すいぞう)に何らかの異常がある場合、膵臓(すいぞう)の細胞が破壊されることによって血液や尿の中にアミラーゼが流出し高い値を示します。一方、膵臓(すいぞう)の病気等の原因によりアミラーゼの生成量が減少した場合、値が低くなります。血液で測定するものを血清アミラーゼ、尿で測定するものを尿アミラーゼと言います。
- 正常値
- 血清アミラーゼ:40~122IU/L
尿アミラーゼ:65~840IU/L -
異常値の場合の疑い病名
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基準値を超えている(血清アミラーゼ122IU/L以上、尿アミラーゼ840IU/L以上)の場合
- 急性/慢性膵炎、急性胆のう炎、急性虫垂炎、化膿性耳下腺炎、唾液腺閉塞、腎不全等が疑われます。 基準値未満(血清アミラーゼ40IU/L以下、尿アミラーゼ65IU/L以下)の場合
- 慢性膵炎、肝炎、肝硬変が疑われます。高度の糖尿病の場合も基準値未満を示す場合があります。 腫瘍マーカー(血液検査)の注意点
- 腫瘍マーカー(血液検査)は値が異常値であるとしてもがんがあるとは必ずしも言えないですし、がんがあっても異常値を示さない場合があります。その為、主たる検査として用いることは現時点で出来ません。
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超音波(エコー)検査
- 超音波(エコー)検査とは、超音波を対象物に当てて、その反射を映像化することで対象物の内部の状態を調査することのできる画像検査法の一つです。機器は安いものから高額なものまで存在し、多くの医療機関で装備されています。
- 膵臓(すいぞう)検査における超音波(エコー)検査の限界
- 超音波(エコー)は検診施設や多くの医療機関で装備されているので検査を受けるのは容易ですが、その一方で検査結果は以下のことを踏まえて理解する必要があります。
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機器の限界
- 超音波(エコー)は機器による性能差が顕著であり、普及機においては出力が弱いものも多く、体内深い位置の膵臓(すいぞう)は見えづらい。また高性能の機器を用いても小さな膵臓(すいぞう)病変はそもそも検出能が高くない。 被験者の体形の限界
- 体形が大きかったり太っていると超音波が届きづらく、見えづらい。 医療従事者の限界
- 膵臓(すいぞう)を見る為には高度な技術が必要であり、膵臓(すいぞう)疾患を超音波(エコー)で見慣れている医療従事者は極めて少ない。 超音波(エコー)検査の注意点
- 超音波(エコー)で異常を指摘されなかったから安心という検査ではないことはご理解ください。
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MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)
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MRI検査は身体に磁場を当て画像化する検査です。
通常の撮影の他にMRCP(MR-胆膵管撮影)、DWI(拡散強調像)を用いた場合、膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子の確認のみならず、膵臓(すいぞう)がんの診断も行える可能性のある検査です。
MRIも超音波(エコー)検査同様、安い機器から高額な機器まで存在し、診断する能力には比較的大きな違いがありますが、超音波(エコー)のように技術による診断の差はあまりないことが特徴です。 -
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MRCP(MR-胆膵管撮影)
- 造影剤を用いないで膵管を映し出す画像です。
膵がんの大部分は膵管壁から発生しますし、膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子である①膵嚢胞(IPMNを含む)は多くが膵管に生じます。また、②膵管の拡張、狭窄、途絶は直接診断出来る画像です。
- 造影剤を用いないで膵管を映し出す画像です。
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膵全体に10mm大までの嚢胞性病変が多発している症例。 膵嚢胞多発(分枝型IPMN's) -
膵体部~尾部の主膵管拡張認め、膵頭体部移行部で主膵管途絶がみられる症例。
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DWI(拡散強調像)
- 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓(すいぞう)がんが描出されることがあります。
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膵尾部に高信号がみられる症例。 -
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MRIで検出可能な膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子は以下の通りです。
- 拡散強調像は組織内の水分子の動きである拡散運動を画像化したものです。がん組織を明瞭な高信号として描出し、周囲の正常組織の信号を抑制するため、拡散強調像で膵臓(すいぞう)がんが描出されることがあります。 膵嚢胞(IPMNを含む):検出可能
膵管の拡張、狭窄・途絶:検出可能
膵実質の限局的萎縮、くびれ:検出可能
膵石灰化(慢性膵炎、膵石):検出不可能
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当院からのご提案:膵臓(すいぞう)MRIドック
- (お申込み)
- 膵臓(すいぞう)がんの早期発見の為、安価な膵臓(すいぞう)MRIドックを設定し、診断能の高いMRI-MRCP検査をスクリーニング検査として利用しています。
症状や異常を確認した後に行う検査
- 症状の原因を突き止める為、主として①症状や異常がない時に行う検査に記載した以下の検査が行われます。検査は原則として保険診療にて行われます。
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- 血液検査(血清アミラーゼ)/尿検査(尿アミラーゼ) 超音波(エコー)検査 MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)
第1ステップ スクリーニング検査
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- 第1ステップにて膵臓(すいぞう)がんの可能性が示唆された方や膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子を確認し、再検査が必要と判断された場合、以下の検査が行われる可能性があります。
第2ステップ 画像診断において膵臓(すいぞう)がんの診断を行うための検査
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MRI-造影検査
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上記の「c)MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)」に造影剤を用いた画像を付加した検査です。
膵臓(すいぞう)がんは殆どが乏血性の癌なので造影検査時に鮮明な濃染画像を示しません。そのような乏血性のがんは、造影検査後にがん組織から造影剤が抜けづらいという構造を探しに行きます。他の組織からは造影剤が抜けている状況の中、がん組織にだけ造影剤が留まる為、遅れたときに染まる=遅延濃染と言い、造影後時間が経った画像を用いて診断します。 - 特徴(検査のメリット)
- 上記c)MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)の検査に造影剤を用いることで、膵臓(すいぞう)がんを直接捉えられる可能性が高くなっています。
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上記の「c)MRI-MRCP検査(造影剤を用いないで行う検査)」に造影剤を用いた画像を付加した検査です。
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CT-造影検査
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CT検査は身体にX線を照射し、様々な角度から画像を見ることの出来る検査です。がんを探索する場合、造影剤を用いることでがん組織が造影剤を吸収して光る為、がんを探すのに適した検査です。
膵臓(すいぞう)がんは前述の通り乏血性の癌であるため、造影後の遅延濃染にて判断します。造影後の遅延相で、この遅れて染まる部分(他の組織からは造影剤が抜けている状況の中、がん組織にだけ造影剤が留まる部分)を捉えることで、膵臓(すいぞう)癌を診断することができます。 - 特徴(検査のメリット)
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CTでは広範囲の検査が可能ですので、膵臓(すいぞう)がんの有無の検出にとどまらず、膵臓(すいぞう)がんで心配な肝臓やリンパ節への転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)の確認が同時に可能です。
また、膵臓(すいぞう)がんの画像上の危険因子のうち、MRIが不得意な石灰化はCTで拾い上げることが可能です。 - CTで検出可能な膵臓(すいぞう)がんの画像診断上の危険因子は以下の通りです。
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膵嚢胞(IPMNを含む):脂肪置換との区別がやや困難です。
膵管の拡張、狭窄・途絶:検出可能
膵実質の限局的萎縮、くびれ:検出可能
膵石灰化(慢性膵炎、膵石):検出不可能
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CT検査は身体にX線を照射し、様々な角度から画像を見ることの出来る検査です。がんを探索する場合、造影剤を用いることでがん組織が造影剤を吸収して光る為、がんを探すのに適した検査です。
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EUS検査
- 超音波内視鏡検査(EUS)は内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。 通常の超音波検査では超音波が届きにくかったデメリットを克服するための検査で、胃の先にある膵臓(すいぞう)を目掛けて内視鏡が進み、膵臓(すいぞう)に達すると膵管内に内視鏡を入れ、そこから超音波で膵臓(すいぞう)がんを探します。 特殊な装置が必要であり、検査は膵臓(すいぞう)の専門医が行う必要がある一方、検査料金が安く採算性が低いため、実施医療機関、実施検査数が少ないのが実情です。
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第3ステップ 生検-確定診断
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EUS-FNA
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EUS-FNAは、超音波内視鏡検査(EUS)で膵管内を内視鏡で進み、膵臓(すいぞう)がんと思われる部分を穿刺し、膵臓(すいぞう)がんか否かを確認する検査です。
ESU-FNAは多くの膵臓(すいぞう)を専門とする多くの病院で検査~診断体制が用意されています。 - EUS-FNAの限界
- EUSは膵管内に膵臓(すいぞう)がんと思われる組織がある場合には有効ですが、膵管外に膵臓(すいぞう)がんと思われる個所がある場合にはEUS-FNAで検査を行うことは出来ません。
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EUS-FNAは、超音波内視鏡検査(EUS)で膵管内を内視鏡で進み、膵臓(すいぞう)がんと思われる部分を穿刺し、膵臓(すいぞう)がんか否かを確認する検査です。
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ERCP
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ERCPは、膵液を採取することで膵臓がんの生検を行います。
デメリットとして急性膵炎をおこす危険性や、技術的な難しさ等があります。
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ERCPは、膵液を採取することで膵臓がんの生検を行います。
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膵臓(すいぞう)がんの検査について
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3.膵臓(すいぞう)がんの原因(1)膵臓(すいぞう)がんの原因=遺伝子変異の通り、膵臓(すいぞう)がんの原因は遺伝子変異です。
膵臓(すいぞう)がんを早期発見するための検査
- 膵臓(すいぞう)がんを発見した段階によって治療の選択肢が変わります。早期発見することが出来れば膵臓(すいぞう)の機能を温存出来る可能性も残されていることに留意をしてください。
膵臓(すいぞう)の役割に関しては2.膵臓(すいぞう)の機能を参照してください。 -
- 抗がん剤の治療無しに部分切除を行える可能性があります。
部分切除を行うことで膵臓(すいぞう)の機能を温存出来る可能性が残されます。 - 薬物治療を行った上で切除を行い、更に薬物療法を行う治療が一般的です。
部分切除を行える可能性が残されています。
部分切除を行うことが出来れば、膵臓(すいぞう)の機能を温存できる可能性があります。 - 化学療法又は化学放射線療法を実施した後に手術の可否を判断することになります。
- 化学療法を中心にした治療を行うことが一般的です。
超早期発見が行われた場合:上皮内癌(ステージ0)~ステージ1A(膵臓(すいぞう)がん1㎝メートルまで)腹腔鏡による手術が可能な病院もあります
早期発見が行われた場合:ステージ1Bないしステージ2のうち切除可能な場所にある膵臓(すいぞう)がん腹腔鏡による手術が可能な病院もあります
切除可能/不能の境界の膵臓(すいぞう)がんと判断された膵臓(すいぞう)がん
その他の膵臓(すいぞう)がん 切除不能な膵臓(すいぞう)がん
- 抗がん剤の治療無しに部分切除を行える可能性があります。
膵臓(すいぞう)がんの治療
- 当院にて以下の7つの大学病院を含む8総合病院の膵臓(すいぞう)を専門とする内科医、外科医が外来(膵臓(すいぞう)を専門とする膵担肝外来)を設置しています。 当院にて膵臓(すいぞう)がんの早期診断を行なった場合、膵臓(すいぞう)がんの出現の可能性が極めて高く生検を行う必要がある場合には、これらの病院に紹介を行います。
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東京都
(全体順位)病院名 治療実績 合計件数 手術あり 手術なし 3 東京医科大学病院 466 196 270 6 東京女子医科大学病院 381 145 236 7 東京大学医学部附属病院 377 146 231 10 帝京大学医学部附属病院 277 117 160 14 東京慈恵会医科大学附属病院 234 126 108 15 慶應義塾大学病院 229 119 110 62 聖路加国際病院 42 11 31 -
茨城県
(全体順位)病院名 治療実績 合計件数 手術あり 手術なし 1 筑波大学附属病院 215 115 100 - (出典:caloo「膵臓(すいぞう)、脾臓の腫瘍」より)
東京都
茨城県
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